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疲れたココロを海に流して。おひとりさまにもやさしい、境港おさんぽ旅

のんびり 2021.10.05

列車に乗る学生たちのマジメな顔。その周辺をにぎわす「子泣きじじい」たち妖怪の面々。そのギャップがシュールで吹き出しそうになる。マスクしててよかった。

ここは、境港へ向かう列車の中。始発駅・JR米子駅に停まっていた車両は、外も内も『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪たちで埋め尽くされていた。しかし地元の人たちは平然と乗り込み、フツーの顔である。キャラクターたちが棲む列車に乗ることが、ここでは日常なのだ。いやあ、旅の開始早々、愉快な光景に出会えた。待ってました、この感覚。

仕事で溜め込んだストレスが「ブチギレ」ライン寸前になった私は、今日、人生初の一人旅に出た。誰にも気を使わず、最強にワガママな時間を過ごしたくて。ストレスというヤツは厄介だけど、そのおかげで旅に出られたのだから、ポイントカードみたいなものか。
行き先は、鳥取県境港市。港というからには、うまい魚があるはず!うまい魚があるなら、うまい酒もあるはず!食べて、飲んで、このストレスをチャラにするのだ!

境港市観光案内所は、おひとりさまの強い味方だった

終点のJR境港駅で降り、観光案内所でマップを眺めていると、スタッフさんが声をかけてくれた。おすすめの店をいくつか挙げながら、「ここ、おいしいですよ」と丁寧に教えてくれる。やり取りする中で、禁煙の店もわかったし。スマホで探すのも便利だけど、地元の人におすすめされたほうが何倍も期待が高まるから不思議だ。さあ、テンション上がってきたぞ。

有力な情報を頼りに、「水木しげるロード」周辺をぶらぶら

境港市は『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげる先生の出身地。「水木しげるロード」と呼ばれるメインストリートは妖怪だらけだ。

オトナの傷心(?)一人旅にしては少々愉快度高めだが、水木ワールドの住人と化して歩いているうちに、だんだん人間界のしがらみとかバカバカしく思えてくる。そう、おばけにゃ会社も仕事もなんにもないのだ!たのしいな!

コワイもの見たさで買った「妖菓 目玉おやじ」。その妖しさに反して、上品でおいしい和菓子(境港市本町)

観光案内所で聞いたおすすめの一軒は、「おさかなロード」と呼ばれる通りにあった。

地元の漁師さんも食べに来るという「海月丸」(境港市相生町)

この旅のメインイベントと言っても過言ではない、海鮮丼がドーン!

…と、くだらないダジャレが飛び出すほど心が弾んでいる。ヤバい、海鮮丼一杯で回復できるくらいのストレスだったのか!?いや、違う。都会の海鮮丼とは鮮度が違う。だから疲れに効くのだ(ワタシ調べ)。

海鮮丼をペロリと完食し、「おさかなロード」を散策。と、「境港水産物直売センター」(境港市昭和町)があった。

実家に何か送ろうか…と誰かを思う余裕も出てきた。お店の前を行ったり来たり。

「境港水産物直売センター」を出て歩いているとレトロかわいいパン屋さんを発見。初めて来たのに懐かしいような。

そそられる店構え、「神戸ベーカリー・モンマルトル」(境港市元町)

聞けば、創業60年以上の老舗だそうで、近所の中学校にまだ給食がなかった頃は、ここのパンが購買部に並んでいたのだそう。「だから、大人になってからも懐かしがって買いに来くれる人がいるんですよ」と店主さん。うんうん、わかるな〜その感じ!と郷愁に便乗して、いろいろ購入。

お茶する店は観光案内所で聞いた、「喫茶クロ」(境港市中町)と決めていた。

店の前に惣菜が売られているのを不思議に思いながら、コーヒーとアップルパイを注文。

カウンター席には、しきりと店主に話しかけているお年を召した女性がいた。常連さんらしい。その後も、「よっ」と店主に会釈してはカウンター席に座るお客たち。

ならば私も!「常連さんが多いんですね」と話しかけてみた。「みんなおしゃべりしに来るのよ(笑)。そのついでにコーヒーを飲むの」。あ、なるほど(笑)。

店の前にあった惣菜は近くの魚屋さんが作っているそうで、確かに、魚のフライやお刺身など魚系が並んでいた(しかも安い!)。「この辺はスーパーがなくてね。じいちゃんばあちゃんが遠くまで買いに行けなくて、困るでしょう。だからここで売ってるの」。

ご近所さんで協力しあって、地域の暮らしを支えているんですね…と、そんな話をしていたら当の魚屋のご主人がコーヒーを飲みにやって来た。もちろんカウンター席に座る。もはや身内の空気感である。私のような新参者でも居心地がいいのは、年齢高めの落ち着いた客層と、店主さんが醸し出すおおらかでやわらかな雰囲気のせいか。店では不定期でジャズライブや落語会もやっているんだとか。地域の暮らしを支えるだけでなく、文化まで発信しているなんて…カッコイイ!ライブ見たい!

と、いつまでも長居してしまいそうだが、一泊二日の旅では、そうそうまったりもしていられない。次は物欲だー、とばかりに再び「水木しげるロード」へ。

「妖怪おでん缶」など、オリジナル商品もいろいろの「ゲゲゲの妖怪楽園」(境港市栄町)

オリジナルてぬぐいに心をわしづかみされた「ぬりかべ商店」(境港市松ヶ枝町)

境港ならではの食べ物も買いたいなあと思っていたら、干物屋さんが。
カルシウムはイライラ防止にも良さそうだし、いいかも。

「板倉博商店」(境港市松ケ枝町)の奥さん。煮干しについていろいろ教えてくれた

小さいイカはホタルイカかと思ったら、スルメイカの赤ちゃんだそう。ホタルイカの目は口に残るけど、この目はやわらかいから気にならないんだって。

「以前は試食もしてもらってたんですけどコロナでねえ…うち、ホームページで通販もし始めたんですけど、やっぱりこうしてお客さんと向き合って、煮干しの良さをお伝えしたいなあ」。観光客が減ってさみしい、と明るく吐露してくれた。たまたま立ち寄ったとは思えないほど心の距離をグッと縮めてくれる。出張の度に買いに来るお客さんもいるらしい。きっと、奥さんの人柄も味わいの一つなのだ。

近くにある「千代むすび酒造」(境港市大正町)では、干物に合うお酒を物色。日本酒はもちろん、柚子酒やスパークリングなどもアリ。

そろそろ宿へ。今回はJR境港駅前の「天然温泉 境港 夕凪の湯 御宿 野乃」(境港市大正町)に宿泊。最上階には天然温泉の大浴場が!

ホテルの部屋で購入したお土産を早速並べてみるも…。買い足りない(苦笑)。
あと買うべきは、職場へのお菓子と、日本酒と…と作戦を練る。

夜はドキドキの一人飲み

居酒屋「碧と風(そらとかぜ)」(境港市栄町)へ。ここは地魚と地酒が楽しめるというこの世の天国のようなお店!

お刺身は、ネタ重視の「鶴」と、量を食べたい人向けの「亀」が用意されていた。
こういう選択肢、うれしいなあ。「魚はどれも境港で揚がったものですよ」と店主さん。
心地よい距離感で話しかけてくれるから、一人でもさみしくないぞ。お酒が入れば、言葉がするする出てくる私(笑)。料理についてたずねると、あふれるほどにこだわりがいっぱいだった。「アジフライはお刺身でいけるものを一尾ずつさばいて、もちろんタルタルも手作りで…どれも手間がかかるんですけど、自分がおいしいと思うものしか出せない性分なので」。クーッ。こういうの聞くと、おいしさがさらに増すんだよね。日本酒おかわり!

店主さんおすすめのアジフライ

のどぐろの刺身まで!贅沢すぎる…

目の回るような忙しさなのに店員さんたちの愛想も良くて、調理場、接客、それぞれの持ち場を精一杯守りながらの連携プレー。
仕事への姿勢。私も見習わないと…。ちょっぴり日常を省みつつ店を出た。

夜の「水木しげるロード」は、妖怪度が増している。

キモカワイイならぬ、ブキミカワイイ影絵も

ほろ酔いのいい気分になってきたところで、ふとひらめいた。一人旅の極意が(初心者ですが)!…それは、混じること、じゃないだろうか。土地の人がな〜んも意識せず食べているゴハンに、油売ってる空間に、ただ身を任せ、混ると、心のコリはほぐれていく。う〜ん、私に一人旅の才能があるのか、おひとりさまを自然に受け入れてくれる境港のおかげか。明日はレンタサイクルもして、行けるとこまで行ってみよう。仕事疲れは心地よい旅の疲れで上書きされるのであった。

(text by Nomi Masuyo)

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