1月8日、水木しげる記念館閉館後の夜7時から、小泉八雲のひ孫の小泉凡さんをお迎えして、「小泉凡が妖怪を語る」が開催されました。 場所は記念館の無料スペース「憩いのひろば」。 あまり広くないスペースですが、破れた障子や後ろに広がるライトアップされた中庭などムードたっぷりの中で始まりました。
このイベントは中村境港市長の方針である「中海圏の文化交流」を目的に開かれ、まず最初に市長からあいさつがありました。 |
次に境港室内楽団の演奏による「ロンドンデリーの歌」と「ゲゲゲの鬼太郎」。「ロンドンデリーの歌」は小泉八雲のふるさと、アイルランドの民謡です。 演奏してくださった境港室内楽団は、平成11年に結成した市内で唯一の室内合奏団。気軽に楽器演奏を楽しもうと、市内を中心に活動しています。今回は弦楽器での編成で出演してくださいました。 |
ぐっとムードが盛り上がってきた頃、足立茂美さんによる小泉八雲の作品「ちんちん小袴」の語りが始まりました。 足立茂美さんは広島大学教育学部助手、大阪教育大学講師を経て、現在、鳥取県立保育専門学院講師、鳥取県短期大学の講師。境港市で「おはなしポケットの会」を結成し、その代表として子どもたちに語りや絵本の読み聞かせを行うほか、様々な場所で「語りの会」を開催するなど幅広く活動を行っておられます。
裕福に育ちすぎて何も出来ない美しい娘がおりました。 娘はある武士のもとへ嫁ぎましたが、やはり何もしませんでした。でも武士は優しかったので、何も言いませんでした。 ある夜、娘が目を覚ますと枕元に小さな人々がたくさん立っていて、しきりにお囃子を歌います。そしてそれが毎晩続くのです。 とうとう娘は眠れなくなり、次第にやつれていきました・・・。
この続きはぜひ小泉八雲の本を読んでみてください。 |
そして、小泉凡さんの登場です。 凡さんは小泉八雲のひ孫にあたります。 松江市立女子高等学校講師、小泉八雲記念館学芸員などを経て、現在、島根県立島根女子短期大学助教授、小泉八雲記念館顧問。民俗学、特にラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の民俗学的研究やケルト口承文化研究などを専門としていらっしゃいます。
当日は「異界をめぐる話〜小泉八雲・アイルランド・山陰〜」の題で、楽しいお話を聞かせてくださいました。
語りで聞いた「ちんちん小袴」は家につく妖怪(ザシキワラシなど)や付喪神(古い道具につく霊)などを語ったものです。宮城県や新潟県に似たような話が伝わっています。「ちいちい小袴」という題名になっているところもあるようです。
西洋では超自然的な存在を「妖精」と呼び、日本では畏怖の対象となる奇怪な超自然的なものや怪異現象を「妖怪」と呼びます。小松和彦氏によると「神」も「妖怪」も異界の存在で、祀り上げられているかどうかで区別するのだそうです。
小泉八雲は故郷アイルランドの家でのっぺらぼうを見た体験や、乳母の語るケルト民話の中の妖精が、その後の妖精・妖怪遍歴の始まりだったようです。 語り部の影響が強いところなどは、水木しげるののんのんばあの存在と通じるものがあります。 また日本に来てからたとえば浜村温泉(現在の鳥取市気高町)で見た夢などを通じて、アイルランドと出雲が重なっていき、日本への親近感とアイルランド人としてのアイデンティティを強めたと思われます。
妖怪研究で名前が挙がる井上円了は妖怪を呪術としてとらえ、人々を呪術から解放する意図で妖怪退治を行いました。 小泉八雲や水木しげるは異界の住人である妖怪と共生することで、人間は豊かになると考えました。 そして近年どんどん増えている妖怪愛好家や在野の研究者はオカルトとしての妖怪に魅力を感じている人が多いようです。 このように妖怪へのさまざまな視点でのアプローチが、豊かさをよんでくるのではないでしょうか。 |
現在では様々な分野の本が家にいながらにして簡単に手に入ります。寒い冬、コタツに入ってみかんを食べながら、ゆっくり読書するのはいかがでしょうか。 |
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